『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』展が神奈川県立近代美術館 葉山でスタート

フィンランドが誇る世界的な建築家アルヴァ・アアルト。今年、生誕120周年を迎えたアアルトの軌跡をたどる展覧会『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』が、神奈川県立近代美術館 葉山でスタートしました。

2014年にドイツのヴィトラ・デザイン・ミュージアムで始まり世界各地を巡回していた展覧会が、いよいよ日本にやってきたんです!

オープン前日にはアルテックとイッタラによるメディアプレビューが開催されました。アルテックはアアルトが創設者の一人として立ち上げたブランドです。原宿にあるヴィトラ&アルテックのオフィスから貸し切りバスで葉山へ。乗車前には車内で食べるおやつも配られて、まさに大人の遠足です!

到着〜。山と海に囲まれた神奈川県立近代美術館 葉山。すっきりモダンな建築の後ろには海が広がり、借景も楽しめます。

メディアプレビューにはヴィトラ・デザイン・ミュージアム館長をはじめ、アルテックのCEOや、数日前に来日されたばかりのフィンランド次期大使もいらして、本展への期待の高さが伺えます。

会場を入るとすぐ目に入るのがこちらの絵。アアルトが活躍した1930年代を象徴するモガやバウハウス、工業化する街などを描いた作品です。「せっかく葉山でやるからにはアアルトの世界観にあう、当館所蔵の作品も合わせて展示するべきと考えました」と館長。

そうなんです、本展ではアアルトの作品や歴史だけでなく、彼が生きた時代や影響を受けた同世代の作家の作品、建築に関する資料なども合わせて展示してあるのが面白い。また今回の展示で大きなウェイトを占めているアアルト作品を撮影した写真の数々は、本展のために起用されたカメラマンによる撮り下ろしで、こちらも従来のアアルト作品集で見る写真とはまた違う印象なんですよね。アアルト好きなら、きっと何重にも楽しめる仕掛けがあるのでは、と思います。

「アアルトは当時、時代を席巻していたモダニズムにおいては、どちらかといえばやわらかなアプローチをした人。それは人が暮らしやすいデザインを追求していたから」「サナトリウムの設計は近代建築においてかかせないテーマ」など、展示を見ながら要所要所で館長が解説をしてくださいました。

木を曲げる独特の手法は、アールトのデザインの大きな特徴のひとつ。私はこれを見るたびに筍の先っぽを思い出してしまう。

アアルトがデザインした家具も展示。イッタラからいまも現役で発売されている通称「アアルトベース」とよばれる花器のオリジナル版や木型もありました。

本展のもうひとつの目玉が、アアルトのデザインを体感できるアアルトルーム。会場構成はスタイリストの黒田美津子さんが手がけていて、アアルトの椅子に実際に座ったり、触れることができます。

借景満喫スポットもあります。

部屋の奥にはアアルト様。立体的になっているんですよね。

アアルトの代表作のひとつ、ヴィープリの図書館の写真と、それを思わせるスツール群。色とりどりなスツールが2018年的です。

到着が遅れたこともあり、展示を見る時間がかなり限られていたので駆け足での観覧となってしまいましたが、葉山会場の雰囲気をまず知ることができてよかったです!耳を澄ますと、波の音も聞こえてきそうな美術館。アアルトとは波の意味であり、アアルトは”king of Wave”とも称されるほど、波のような曲線をデザインに取り入れています。そんなアアルトのデザインと、この葉山の環境で向き合えるのがいいのです。

今回の展示の見どころについては、私のフィンランド師匠、建築家の関本竜太さんのブログに詳しく解説があります。とくに建築やデザイン専門の方は、アアルトに詳しい関本さんの「アアルト展ではこれを見ろ!」解説を読んでから出かけるのを強くおすすめします!(数回にわたって解説されていますので読み逃しのないよう)

ミュージアムショップでは限定グッズも販売しています。

レセプションでは、フィンランド次期大使からのご挨拶もありました。冗談がお好きなようで、挨拶の合間合間に笑いが起こります。パーティでお話する機会があったのですが、とても気さくな方でした!

そしてこちらの方は……なんとアアルトのお孫さん!!場内、一瞬ざわついてカメラを構える人もたくさんいました。レジェンドの血縁ですものね〜。やはりイケメンの血筋なのだろうか。

帰りのバスに乗る前に配られたおやつはアアルトバージョン!今回、「葉山まで楽しく過ごしてもらえるように」と遠足企画を発案されたアルテックのみなさんの心配りにも感激です。

アアルトの照明に照らされた夜の風景も美しい。

日本で前回、大規模なアアルト展が開催されたのは1998年、ちょうど20年前です。西武美術館での展示だったのですが、じつは私がフィンランドや北欧に魅せられるきっかけとなったのが、その展覧会でした。あれから20年か……と思うと胸が熱くなってしまいました。あの時、アアルトの建築とデザインにどうしようもなく惹かれて、こうして北欧と関わりながら仕事をするようになったんですよね。この場に来られて本当に良かった。

展示は11月25日まで。できれば日中、晴れている日に再訪したいですね!
本展は2019年にかけて名古屋、東京、青森と全国4会場を巡回予定。フィンランド、そして北欧のデザインや暮らし、考え方に大きな影響を与えたアアルトを改めて知ることのできる展覧会です。どうぞお見逃しなく!

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『アルヴァ・アアルト-もうひとつの自然』展
Alvar Aalto -Second Nature

神奈川県立近代美術館 葉山
2018年 9月15日〜11月25日

名古屋市美術館
2018年 12月8日〜2019年2月3日

東京ステーションギャラリー
2019年 2月16日〜4月14日

青森県立美術館
2019年 4月27日〜6月23日