ギンザ・グラフィック・ギャラリー『Marimekko Spirit』展へ

銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で開催されている『Marimekko Spirit』展へ行ってきました。いまのマリメッコを代表する3名のデザイナーにスポットをあて、作品や製作背景など、マリメッコのデザインがどのように生まれるのかを紹介する展示です。

1階の展示スペースではそれぞれのテキスタイルに照明をあて、あえて黒い壁をベースにしたという暗い空間に鮮やかなデザインが浮かび上がるように展示されています。冒頭の写真にある動物柄の『ヴェルイェクセトゥ』はフィンランド独立100周年のためにマイヤ・ロウエカリが作ったデザイン。切り絵を使ってデザインを作るパーヴォ・ハロネン、そして水彩画というか時に水墨画を思わせる作品が際立つアイノ=マイヤ・メッツォラと3名のデザイナーにしぼった展示ということで、各デザイナーの個性や方向性が際立ち、普段それほど意識して見ることのなかったデザイナーの存在が伝わってきます。

マイヤ・ロウエカリの原画。人気のシィールトラプータルハ(市民菜園)やヴェルイェクセトゥの原画もあります。

中でも目を引いたのがフィンランドの天気をモチーフにした、アイノ=マイヤ・メッツォーラによる『ウェザーダイアリー』シリーズ。一日の中でも刻一刻と姿を変えていく雲や風など、スオメンリンナ島に暮らすアイノならではの感性でフィンランドの天候が描かれています。薄曇りの空や霧のかかったような絵柄を見て、ふと「ヘルシンキで見た空もこんな感じだったな……」と思い出しました。実際にフィンランドに行った方にはさらに響く作品かもしれません。

展示は地下にも続き、3名のデザイナーがそれぞれ日本をテーマに作ったテキスタイルとともにアイデアのソースとなったアイテムや原画が展示されています。また3名それぞれのインタビュー映像が流れ、創作現場をのぞき見ることができます。

すごいすごいと噂でも聞いていたアイノの『Kokedera(苔寺)』は地味な色使いながら圧巻の迫力。日本らしい、なんというか湿度の高いデザインなんです。パーヴォ・ハロネンの作品は、元の切り絵も一緒に展示されていました。彼の作品を見ていると滝平二郎を思い出すんですよね。パーヴォ・ハロネンのインタビュー動画が面白くて、どこか人をくったような受け答えがアールニオ爺を思わせました。マイヤ・ロウエカリは東京のストリートピープルを描いた作品。どれも日本らしい、アジアらしいのだけれど、やはりマリメッコ的なのですよね。3者3様、それぞれに個性の強い3名のデザイナーに通じるマリメッコ的精神、マリメッコ的DNAって何だろうなと思わず考えてしまう展示です。

そしてつくづくデザインとは、観察から生まれるのだな、と。すべてのクリエイティブな行為がそうなのかもしれませんが、マイヤ・ロウエカリの植物や動物といい、アイノ=マイヤ・メッツォラの天気といい、パーヴォ・ハロネンのアジア的要素といい、まあ〜〜よく見ている。観察できる目がすごい、素晴らしいなあと感嘆しきりでした。

そうそう、ちょうど今年フィンランドで手に入れたワンピースが、パーヴォ・ハロネンのサハライタライタ柄でした。改めて見ると、最近気になっている柄はパーヴォ・ハロネンのデザインが多いことに気づきました。デザイナーの顔やデザインが生まれるストーリーを知ると、自分の持っているマリメッコがまた一段と特別に思えるのですよね!

展示している建物横にあるミュージアムショップでは本展限定のトートバッグやバッジなども販売していました。gggでの展示は1月13日まで。入場無料。この後、ギャラリーエークワッドで展示中の『Marimekko Spirit-Elämäntapa マリメッコの暮らしぶり-』展と合体し、各地をまわるそうです。マリメッコ監修の茶室やサウナが見られるこちらの展示、合わせて見るとますますマリメッコへの理解が深まります。