10/31公開。北欧を代表するリア充監督、最新作『1001グラム ハカリしれない愛のこと』

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 BulBul Film, Pandora Film Produktion, Slot Machine (c) 2014

主役のマリエはノルウェー顔。長身でコワモテでぜんぜん笑わないところもノルウェー人。そんな彼女が、フランスの小悪魔バネッサ・パラディに見えてくる。これがベント・ハーメルの魔法!

ノルウェー女とフランス男のラブストーリーと聞いて、てっきり北欧あるある、フランスあるあるネタのぶつかり合い、国民性の違いが笑える……なストーリーかと思いきや、遠く離れて見えるこの2国が不思議と一直線につながって見える。マリエとパイ、同じ孤独をもつ二人の目に映るノルウェーとフランスの街は意外にも似通って見えるのです。

この映画の一つの見どころは、数字で人生や愛を語るシーン。前作『キッチン・ストーリー』でも測定しまくっていましたが、ベント・ハーメル監督は数字とか計量がほんとに好きなんですねえ。ちなみに私の父は大学で建築の構造を教えていたバリバリの理系頭脳の持ち主で「昨晩、夢に数式が出てきて、それがエレガントに解けたんだよね〜」と朝から機嫌がいいような人。残念ながら理系脳をそれほど受け継げなかった私には数式がエレガントに解ける感覚は一生わからないと思うけれど、こういう人が身近にいたせいか数学や物理にもエレガントでロマンティックな要素があるというのはなんとなく想像できる。マリエとパイも数学的に愛を語り合う。これ、数字に萌える系の人にはたまらないでしょうね。理系頭脳がうらやましい!

ハーメル監督は気持ちの交流を描くのが上手。彼が描く心の交流は、温かくて希望がある。それはきっと彼自身が現実の世界で幸せな関係を築いているからこそ、なのでしょう。そんなことを思いながら試写の後、配給会社の方とお話して、この作品がハーメル監督が夫人を亡くされてからできたものであると聞きました。愛する夫人を亡くされたショックは監督に少なからず影響を与えているだろうとも。これまで一貫しておじさんワールドを描いてきた監督が突然に若い女性を主役に選んだのも、生前に夫人からそうしたアドバイスがあったから、と言われているそうです。ああ、やっぱりリア充なんだなあ、ベント・ハーメル!幸せを知っている人だからこそ描けるリアルなラブストーリー。『キッチン・ストーリー』の時には「やだ私もおじさんになりたい!」と嫉妬したくなるほど見事におじさん愛を描いてましたが、男女のラブストーリーを描くのも上手かった。

しかしフランス男って、息するように女性に触れて口説きますね。これ北欧男は真似できないだろうなあ。ナンパなんてありえないって言ってる友人、多いものなあ。でもそんなフランス男を描けてしまうベント・ハーメル、うーんリア充だ……。

試写ではノルウェー夢ネットの青木順子さんと偶然一緒に。ノルウェー通の青木さんならではの「ノルウェートリビア」も織り交ぜたレビュー、面白いのでこちらも合わせてどうぞ!

『1001グラム ハカリしれない愛のこと』オフィシャルサイト
10月31日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー

1件の返信

  1. 2015年11月2日

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