スウェーデン系フィンランド文化の日

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スウェーデン大使館で開催された「スウェーデン系フィンランド文化の日」講演会へ。フィンランドにはスウェーデン系のバックグラウンドをもつ「スウェーデン系フィンランド人」が5.5%ほどいます。じつはフィンランドの歴史上重要な人物はこのスウェーデン系フィンランド人が多く、国民的詩人のルーネベリ、作曲家のシベリウス、軍人であり大統領にもなったマンネルハイム、そしてムーミンの生みの親トーベ・ヤンソンなどがあげられます。ムーミンはもともとスウェーデン語で書かれたお話なんですよね(だからスウェーデンのものだというスウェーデン人もいます)。そういえばリナックスもスウェーデン系なんですね。

フィンランドセンターのハッキネン氏から、まずはスウェーデン系フィンランド人の概要について。フィンランドで自然といえば湖と森ですが、スウェーデンは自然といえば海。ムーミンの物語でも海は象徴的な存在ですというお話。確かに!

スウェーデン系フィンランド人の旗や政党もあります。ザリガニパーティや、夏至祭(メイポール)、ルシア祭などはもともとスウェーデン由来のイベントであって、純粋フィンランド人の間ではあまりやらない行事。たまに「ザリガニパーティといえばフィンランド」と紹介されていることもありますが、あれはスウェーデン系フィンランド人の間でのことなんですね。

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スウェーデン系フィンランド人が話すスウェーデン語と、スウェーデン人のスウェーデン語は発音や意味が異なるケースもあるそう。スウェーデン大使館のアダムさんと、フィンランドセンターのハッキネン氏が発音合戦。中でも面白かったのは「スウェーデン系フィンランド語ではハンバーガーのことをセムラという」のには驚きです。「違うものが出てきて驚くんです」とハッキネン氏。そりゃそうだ。スウェーデンでセムラといえば、イースター前に食べる菓子パンですもんね。

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つづいて大阪大学の古谷先生によるプレゼン。メインはスウェーデン系フィンランド人のエリック・ラークスマンについてだったのですが、その前段の「スウェーデンの王グスタフ・アドルフが、いかに国際的ヒーローだったか」というお話が面白かった!11月6日はスウェーデンではグスタフ・アドルフの日として祝われます。フィンランドではスウェーデン・デイとして、またエストニアでも共通してグスタフ・アドルフを祝っていて、さらにはドイツにもグスタフ・アドルフが解放した街があって、そこでのお祭りには、わざわざフィンランドから参加する人もいるのだとか。

グスタフ・アドルフというとロシアに挑んでバルト海を制し、北方の覇者となった強い王というイメージしかなかったのですが、当時、言語を中心に国ができていく中で、グスタフ・アドルフのもと言葉や宗教が守られ保護された地域が少なくなかったと。現在、グスタフ・アドルフの日が各地で祝われていることを見ても、彼は単なるスウェーデンだけのヒーローではなく、ユニバーサルなヒーローなんですよ、というお話が面白かった。

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スウェーデン系フィンランド人の作家マリン・キヴェラさんとミカエラ・ダイヴアッサロさん登壇。2人とも「フィンランドに暮らしているけれど、作家活動はスウェーデン語」。「双方の文化を知って育つのはユニークな経験だし、アドバンテージ」と話すミカエラさんと、「自分がどちらに属しているのか、常に複雑な思いがある」と話すマリンさん。

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続いてトーベ・ヤンソンの姪にあたるソフィア・ヤンソンさんが登壇!シークレットゲストだったので会場もびっくり。トーベはよく「ムーミンはスウェーデン系フィンランドの社会を反映しているか?」と尋ねられたそうですが、それについては「もちろん。ムーミン谷はすべてのマイノリティが抱える孤立についての話でもある。でもそれは悲壮感のない孤立である」と答えていたそう。またトーベは政治的風刺を得意とした『ガルム』誌でたびたび仕事をしていますが、戦時中ヒトラー側に寄っていった純粋フィンランド主義に対抗し、独裁とは手を組まずに北欧諸国と協力し合おうという北欧主義的=スウェーデン的な立場を貫いていたという話が印象的でした。

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最後は株式会社ムーミン物語の川﨑さんによるプレゼン。日本人がなぜムーミンに惹かれるかについて。トーベ・ヤンソンと水木しげるとの共通点について「家族ではないけれど共存している」「自然と近い暮らし」「戦争への怒り」といった指摘はまさに私もそう思っていて大きくうなずきながら聞いていました。

フィンランド文化を調べていると避けては通れない、スウェーデン系フィンランド人のこと。今回の講演では一日たっぷり、さまざまな立場からのレクチャーを聞けて、理解が進みました。またぜひやってほしい企画です。