ヨックモックからスウェーデン&日本外交樹立150周年を記念したフィーカセットが登場。


毎年、春にスウェーデン大使館で開催されるスウェーデン・トラベルデー。スウェーデン各地の観光局や美術館など観光関連の方が来日して旅行会社やメディアを対象にスウェーデンのさまざまな魅力をアピールするワークショップで、私もスウェーデンの旅の本を執筆する上でヒントや情報をもらっています。今年はスウェーデンと日本の外交樹立150周年の記念イヤーということもあり、例年以上に盛り上がっていました。


近年の旅行業界ではファミリーフレンドリーな旅、また小さな街を選ぶ旅が増え、旅先としてのスウェーデン人気も高まっているそう。スウェーデン人の心の故郷ともよばれるレクサンド、地域特有の魅力をもつスコーネ、オーロラ観光で人気の街キルナなどトラベルデーおなじみの観光局にくわえて今年は首都ストックホルム、そしてヨックモックからも来日していました。そう、ヨックモックというとお菓子のシガールを思い浮かべる方が多いと思いますが、じつはスウェーデンの街の名前なんですよ!

スウェーデン北部、こんな場所にあるわけです。森と湖に囲まれた美しい街ヨックモック。日本のヨックモック社の名前は初代社長がヨックモックで出合ったおもてなしに感銘を受けてつけられたのだとか。

このヨックモックが、今回のトラベルデーの目玉でもありました。特別ゲストのヨックモック社・藤縄社長よりスペシャルな発表があったのです。写真は左からヨックモックコミューン議会議長のカタリーナ・トゥーレスドッテルさん、ヨックモックの藤縄社長、そしてスウェーデン大使公邸シェフのマーリン・エリクソンさん。
さて藤縄社長から発表されたのがこれ。150周年のお祝いに作られたヨックモック版フィーカセットです!

フィーカとはコーヒーやお茶と一緒にお菓子を食べて家族や友人と語らう時間のこと。忙しい時も手をとめて、ひととき過ごすかけがえのない時間です。
スウェーデンの伝統菓子とお料理をひとつのプレートに盛り合わせたヨックモック社の「~フィーカ スウェーデンの伝統~ブルー・ブリック・ティーセット」は大使公邸シェフのマーリンさんが監修しています。マーリンさんは「子どもの頃から家で10時と3時にはフィーカをたしなみ、働き始めても職場で同じく10時と3時には毎日フィーカをしています」とスウェーデンの暮らしに根ざしたフィーカ文化を紹介。ヨックモックコミューンのカタリーナさんは「屋外でもフィーカを楽しみます。焚き火でコーヒーをいれるのもいいものです」と。ちなみにカタリーナさんの好きなフィーカのお菓子はセムラだとか。セムラはイースターの前に食べるクリームたっぷりの菓子パンです。

子どもの頃から「特別な日のお菓子」であり、海外へのお土産でも喜ばれること間違いなしの我らがヨックモックと、フィーカのコラボレーションとは、期待せずにいられません。セミナーの後、早速こちらのティーセットを試食してきたのですがヨックモックが、日本の優秀な菓子職人が本気を出すとこういうことになるのだという、そんな夢のようなフィーカセットでありました。『北欧のおいしい話』を書く時にスウェーデンの伝統菓子を現地でたくさん食べてまわったのですが、こうした伝統菓子って味はもちろんながら大事なのが食感なんです。ラズベリーのクッキー「ハッロングロットル」も、チョコレートケーキ「クラッドカーカ」も、そしてもちろんシナモンロールも本場スウェーデンの味にして食感。あの北欧焼き菓子特有のザクッとした歯ざわり、ふわふわしすぎない生地。ヨックモックさん、本気出した。これは横浜・薫々堂さんのシナモンロールに次ぐ「本場の人に食べさせたいフィーカセット」だ。スウェーデン人、感動するね。
大使館の方に後で聞いたのですが、このフィーカセットは5年越しの企画だったとか。「もう〜〜ぜんぜん!妥協しないのよ!ヨックモックさん!」ですと。スウェーデン組が「んー、こんな感じでいいんじゃない?」と言ってもひたすらに試作を続けるヨックモックさんの姿が見える。見えるよ。
プレートで異彩を放つ緑色のお菓子「ダムスーガレ」は試食コーナーには既になくなっていて涙を飲みましたが、お店で食べるのがとても楽しみ。ダムスーガレとはスウェーデン語で掃除機の意味(昔の掃除機がこういう形をしていたから)。これマジパンで作られた甘〜いお菓子なんですが、本国でも好き嫌いが別れる味なんですよ。日本における和菓子の練りきり的位置づけといいましょうか(年配の方は好きだけど子どもは嫌がるみたいな)。さてヨックモックスタイルのダムスーガレはいかがでしょうか。きっと絶対においしいよ……!(ワクワク!!)
フィーカプレートには甘味だけでなく、ミートボールのオープンサンドやサーモンマリネもセットに。スウェーデン定番の甘いマスタードをつけたサーモンマリネ、ビーツをあわせたミートボールとどちらも上品でおいしい。しみじみ、おいしい。
フィーカのティーセットは4月20日(金)からヨックモック青山本店ラウンジで販売スタート。さらに青山本店限定で、ダーラナホースパッケージの焼菓子セットも販売されます。Små godingar(スウェーデン語で「小さなごちそうたち」)と名づけられた、おうちでフィーカが楽しめるセットです。

~フィーカ スウェーデンの伝統~ブルー・ブリック・ティーセット
メニュー内容
●スウェーデンのミートボールとビーツのオープンサンド
●鮭のマリネ はちみつ入マスタードソース添え
●ルバーブのパイとバニラソース
●スウェーデンのシナモンロール
●ダムスーガレ
●ハッロングロットル
●クラッドカーカ
税込価格:お1人様2,592円

販売期間は4月20日(金)~6月19日(火)を予定、提供時間は14:00~20:00限定となります。
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北欧のお菓子に興味がある方はもちろん、子どもの頃にシガールを歯でパリパリはがしながら食べたヨックモックファンはこの機会にぜひスウェーデンのフィーカ文化に触れていただきたい!と思います。
スウェーデンのフィーカで食べる伝統菓子や、伝統料理について知りたい方はこちらの本もぜひどうぞ♪


北欧のおいしい話 
森 百合子 著
¥1,600 + 税(2010年9月30日発売)
出版社 スペースシャワーネットワーク

さて、この日の夜には大使公邸でレセプションが開かれました。マグヌス・ローバック大使の挨拶で会がスタート。ビュッフェではスウェーデンの伝統料理も並びました。

写真にスウェーデン北部に住むサーミの民族衣装を着た方が写っていますが、後でお話する機会があったので昨年公開され大きな話題となったスウェーデン映画『サーミの血』を観たと伝えると「どう思った?日本でも上映されたなんて嬉しい!もっとみんなが知るべき内容だと思う」ととても嬉しそうにお話されていました。


スウェーデン料理といえば、この一品「ヤンソンの誘惑」。アンチョビを使ったポテトグラタンです。ポテトは細切りがお約束。

こちらもスウェーデンらしい一品。グッボーラと呼ばれるアンチョビを使ったタマゴサラダです。

サーモンマリネをのせるためにこの世に生まれたと思われる器です。完璧だ。傍らには甘みとディルを加えたマスタードソースが。この組み合わせは最高なんだな。
さてヨックモックフィーバーには続きがありまして、このレセプションで、『JOKKMOKK ROCK』という曲に合わせてスウィングダンスのパフォーマンスをしてしまいました。スウェーデンで1950年代頃からとても人気のあったピアニスト、チャーリー・ノーマンの曲なのですが、私の最近のDJセットリスト常連曲でもあり。こんな曲があるんですよ〜という話から、私がもともとスウェーデンに興味を持ったきっかけがスウィングダンスだったということもあり、せっかくだからスウィング&ヨックモックを知ってもらう意味でもパフォーマンスしちゃいましょう!という話になったのでした。
なかなかに緊張するシチュエーションだったのですが、踊り終えると大使が話しかけにきてくださいました。そして「この曲、演奏しているのは誰?」と興味津々。チャーリー・ノーマンの名前を出すと「僕は彼の曲を聴いて育ったんだよ!彼はソフトボイスでね〜とてもいいよね」と!!まさかまさか、スウェーデン大使とスウィングの曲についてお話できる日がくるとは!


後日、大使がダンスパフォーマンスについてツイートしてくださってると知り、また感激。ヨックモックロックは思った以上にスウェーデンからの来日組にウケたらしく、後日「ヨックモックヨイク」(ヨイクはサーミの伝統音楽)とか即興で作って歌ってたらしいです(聞いてみたい 笑)。
スウェーデンで取材や情報収集をする時にいつも助けてくれるのがスウィングを通じて知り合ったスウェーデンのダンス仲間たち。私にとってスウィングはスウェーデンをよりよく知るためにかけがえのない存在なのですが、またひとつスウィングのおかげでスウェーデンとのつながりができました。
さて最後に、レセプション会場となった大使公邸の写真をご紹介しちゃいましょう。今回、まだ明るい時間、誰もいない状態で中を見ることができたのでした。最近リニューアルしたばかりという公邸はところどころアールデコ様式を思わせる内装で、家具やテキスタイルにはスウェーデン人憧れのブランド、スヴェンスクテンの製品がふんだんに使われています。北欧インテリア好きにはこれはたまらない!ひとつの理想の空間ですよね。



ため息しか出ない…ウットリ……❤

このストーブ!!

書斎もある。

おまけ。トラベルデー本編のセミナーにて、フィンランドとスウェーデンを結ぶ大型フェリー、バイキングラインのプレゼンテーターとして登場したのが『北欧ぷちとりっぷvol.9』で登場した新星、スウェーデン男子のペッテル君。日本語がとても上手になっていてびっくり!ダンスパフォーマンス後の簡単なレッスンもノリノリで参加してくれました。次回ぷちとりでは日本語ではっちゃけてくれるかも!?