脱線だらけのムーミンバレーパーク案内

いよいよ16日、埼玉県の飯能にオープンするムーミンバレーパーク。先日、プレオープンにご招待いただいて、ひと足早くムーミン谷へ行ってきました!

昨年秋、ムーミンバレーパークに先駆けてオープンしたのがメッツァビレッジ。宮沢湖のほとりに広がる敷地内にはフィンランドをはじめ北欧の雑貨や食品などを揃えるショップやカフェが並ぶマーケットホール、アラビアの食器でいただけるカフェやオープンサンドの店などがあり、北欧のライフスタイルを感じられる場所として注目を集めています。そしてその奥、湖の向こうにあるのがムーミンバレーパーク。灯台が見えますね。

湖沿いを歩いていると、なんとなく見覚えのある小屋が。ムーミンパパが作った水浴び小屋です。

中はこんな感じ。トゥーティッキの服があります。置いてあるランプとかやかんとか、ストーブなども雰囲気が出てます。

さて、ムーミンバレーパークの入口に到着です!本(アルバム?)をモチーフにしたゲートが可愛い。ムーミンというとキャラクターの印象が強いけれど、小説が始まりですもんね。本好きにはぐっとくる仕掛けです。

この日はあいにくの曇り空。時折雨もぱらついて、空は灰色。岸の向こうに赤い壁の家が見えて、なんだか本当にフィンランドにいる気がしてきました(フィンランドは夏以外は曇り空の印象が強いのです)。

園内に入って一番に目にとまるのは、やはりムーミン屋敷。本で見た家がそのまんまある〜。橋のこちら側から撮るとインスタ映えしそう〜。
ちなみに私はフィンランドのナーンタリにあるムーミンワールドには行ったことがありません。以前、スウェーデンのビンテージ雑誌『RETRO』で原作者のトーベ・ヤンソンとムーミンを特集した号がありまして、その日本語版を編集・監修する際にキャラクターやストーリーの背景などをだいぶ学んで鍛えられましたが、猛者揃いの日本のムーミンファンに比べたら自分などペーペーです。もしもムーミン検定があったら、たぶん3級か4級くらいでしょう。フィンランド横断ムーミンウルトラクイズがあったら、たぶんグアム辺りで落ちます(グアム通らないけど)。そんな私でも楽しめるだろうか、ムーミンバレーパーク!

なんだかワイワイしているなと思ったら、向こうから8頭身のスナフキンが歩いてきました。傘をさされています!スナフキンが!
どうやらちょうどショータイムが終わったようです。……もしかして、わたし、肝心なものを見逃した??


気を取り直して、何かアトラクションを見ることにします。ちょうど『リトルミイのプレイスポット』の整理券を配っていたので、入ることに。このアトラクションはネタバレ厳禁系なのでお伝えできないのがもどかしいですが、私は最初に目が点になり、その後、大爆笑しました。いたずら好きにもほどがあるな、ミイ。
その後、ムーミン屋敷を見たいと思いつつも整理券に並ぶ人の列と、強くなってきた雨足にひるんで一旦、目の前の建物内へ避難します。

ムーミンのフィギュアも、ぬいぐるみも、着ぐるみも見慣れているけれど、銅像になるとなぜか妙なおかしみが感じられるのはなぜでしょうか。偉人感が出るからでしょうか。コケムスとはフィンランド語で体験という意味だそう。館内には展示スペースとカフェ、そして世界最大規模というムーミンショップが入っています。

まずは腹ごしらえです。ミートボールやサーモンなど王道の北欧メニューの中に「空飛ぶヤコブさん」を発見!これはスウェーデンの伝統料理で鶏肉やベーコンを使ったオーブン料理なんですが、面白いのがバナナを使っているところ。だから甘いんです。本国で食べた時にその甘い不思議な味に驚きましたが、ここのは甘さ控えめで食べやすかったです。北欧といえば、のお約束ベリーのデザートも一緒にいただきました。

コケムスの中にはムーミンの原作者、トーベ・ヤンソンやムーミンの物語を紹介する展示が充実しています。入口を通りかかった時にちょうど若き日のトーベが映りました。おしゃれ〜。

エレベーターでまず3階に上がると、ムーミンの世界に入り込んだような体感型の展示があります。歩いたり触れると変化が起こるインタラクティブ展示で写真も自由に撮れます。

見慣れた4頭身くらいのスナフキンと一緒に、わが家のスナフキンも焚き火を囲んで写真撮影。

その先にはモラン〜〜(←モラン好き)。ちょっと薄暗い展示室にいたら、フィンランドで訪れたムーミン谷博物館のことを思い出しました。それまでムーミンって子どものための物語と思っていたのですが、大人の心にもすっとしみる言葉や風景があるということに気づいたのですよね。

美しい。これこそ中に入って写真を撮るべきだったスポットではなかろうか(撮り忘れました)。

3階の展示室を出ると目に入ったのは……ウミウシ!じゃなくてウミウマ!!ムーミンが憧れていた美しい馬。そして眼下には……。

ムーミン谷を神の目で見下ろす。3階までの吹き抜けを使ったムーミン谷の見事なジオラマです。うわ〜これはテンションあがります!

さらに気分高まるのが階下へ降りる階段。トーベ・ヤンソンが小児病棟のために描き下ろしたという絵が再現されています。検査室への道のりが楽しい気分になるように、と描かれた作品だとか。こんな絵が病院にあったら、心やすまるだろうなあ〜〜。

この後、2階では企画展示のトーベ・ヤンソン展が開催されていまして(撮影不可)、これがまた素晴らしかった!!。ムーミン初版本や、50〜60年代に制作されたテキスタイルや食器、フィギュアなども展示してありました。鼻の大きな可愛くないムーミンの元キャラとか、50年代頃のまだちょっと怖いタッチのムーミンなど歴代ムーミンイラストも展示してあってああ楽しい。そしてトーベ・ヤンソンのドキュメンタリー映像もある。トーベ好き(わたし)にはたまりません。

1階に降りて、またジオラマに夢中。ボートに乗ってるニョロニョロ、岸にはスティンキー、手前にはご先祖様がいた〜。

この細部の作り込み……ずっと見ていたい。


あ、そうだあのインスタ映えの橋は、ムーミンとスナフキンが語らう橋だ(といまごろ気づく)。ムーミンの世界に詳しくない方でもこのジオラマを見ておけば、ムーミンの登場人物や世界観がおさらいできますね!

さて展示も堪能したところで、そろそろバレーパークのパーク部分を探検だ!と思ったら、雨がさらに強まっていました。困った。晴れる予報を信じて傘の用意をしていません。とりあえずムーミンマグをいっぱい置いたカフェに吸い込まれます。

ラスキアイスプッラの色違いがある!!ラスキアイスプッラとはフィンランドの季節限定のお菓子。もともとはイースター前の断食に備えて食べる(だからクリームたっぷりでカロリーたっぷり)菓子パンなのですが、今ではイースター前の一定期間は食べることができる味。私はこれが大好きで、見つけると必ず食べてします。聞くと、このカフェでは通年いただけるそうです!緑は抹茶、ピンク色は季節限定のさくら味。

しかし王道のプレーン味にします。中からマーマレードが出てきた!(通常はベリージャムか、アーモンドペースト入り)。マーマレードもなかなかいけます。

外の雨模様を見ながらショップへ。フィンランドみやげの定番、ムーミンパッケージのファッツェルのお菓子もありました。ファッツェルは空港でも買えるフィンランドでもっとも有名なお菓子のブランド。このロゴを見るとフィンランドに来たなあって思うのです(スウェーデンにもたくさんありますけど)。


ウミウマのピッチャー。昔こういうピッチャーあったなあ、というレトロ感。可愛い。

ショップにはムーミンバレーパーク限定品もたくさん。絵本型のパッケージで目を引くのはパーク限定のクッキーです。しかし、一向に止む気配のない雨。この雨の中、外に出て園内を見てまわることなどできそうにありません。どうやらムーミン屋敷の整理券配布も終了しているよう。ああ、このまま私達は帰るしかないのでしょうか。「天気が悪いのではない、服装が悪いのだ」というノルウェーのことわざが、青木順子さん(ノルウェー語の先生)の声を通して頭に響きます。くぅ…
しかし、その時、わが家のスナフキンが素晴らしいものを発見しました!

ムーミンのポンチョ。これでどこまでも歩ける!息を吹き返した!無敵感!
雨などものともせず、しかもムーミンついているなんて、こんなの着ていたら、みんな欲しくなるんじゃない?と思いながら園内をあるき始めるも他に着てる人がいないのが不思議です。ショップに置いてあるのが気づかれていないのだろうか。
しかもこれを着て歩いていたら、人に話しかけられるようになりました。「あの〜スナフキンのテントってこっちですか?」
……もしかしてスタッフに間違えられてる?

ムーミンパパのショップ。

ポスティ(郵便局)がある!

中に入るとヘムレンさんがいっぱい。そうか、ヘムレンさんは切手収集が趣味だから、郵便局にいるんですね(思い出した)。

ここにもあそこにもヘムレンさん。

クレジットカード決済にもヘムレンさん。

店内にはフィンランドの切手も展示してあって、見入ってしまう。
ちなみにメインショップでは見つけられなかったウミウマのクリアフォルダや、マステの別デザインを見つけて購入。ショップによって多少品揃が違うのかもしれません(が、見つけられなかっただけかもしれない)。

湖ノムコウから見えた灯台に、やっと、やっとたどり着けたよ〜〜!わ〜〜、着いた、着いたよ〜スナフキン!!(のび太の声で)
「点検に来たスタッフにしか見えない」とスナフキン。


敷地内には時折こうして、ムーミンの物語を知らないと謎のモダンアートにしか見えないものがあります。でもちゃんと手前に原画と出典があるから後で謎をとくことができます。
この辺りはバレーパークの中で「おさびし山」と呼ばれるエリア。このまま歩いていていいのだろうかと時折思うような侘しさも感じる空間ですが、フィンランドっぽくていい。スナフキンのように思いにふけりたくなる。ちなみにスナフキンのテントもあります。

そして「おさびし山」をのぼると、何かの訓練中……「飛行おにのジップラインアドベンチャー」です。あー、ムーミンパパの水浴び小屋の上を行き来していたのがこれだ〜!

さらに進むと出てきました。ヘムレンさんの遊園地。この遊園地のことについてはムーミン公式サイトのこちらの記事でわかりやすく紹介されています。ヘムレンさんの遊園地

大雨で流されてしまった遊園地の代わりに、ヘムレンさんが子ども達のために作った遊び場。静寂を好むヘムレンさんの「これは遊園地でなくて、沈黙の園なんだよ」という言葉がぴったりくるような佇まい。雨に濡れた遊園地が、なんだか物語とシンクロして、ぐっときてしまうわ。
あ、ヘムレンさんて一人じゃなかったのか(いま知った)。

わ〜ウミウマのメリーゴーラウンド(のようなもの)もある〜!!

子ども達がいなくなったタイミングを見計らって挑戦してみました。人生初の自分で漕ぐメリーゴーラウンド!
最初のひと漕ぎが結構重い。ぜんぜん動かない。スナフキンの協力を得て、なんとか周る。楽しい。

はあ……やりきった(メリーゴーラウンドで体力を使い果たす)。
ショータイムを逃し、ムーミン屋敷の整理券を逃し、ミィに一杯食わされ、雨が強くなる中、一時はどうなるかと思いましたがパーク満喫!ああ楽しかった。ポンチョ万歳。ありがとうムーミン。ありがとうムーミンバレーパーク。
ムーミンってやっぱり、ちょっと薄暗さや寂しさも感じる世界観がいいんですよね。ディズニーとかサンリオなどの、ぱーっと明るいキャラクターワールドとはまったく違う空気感。それが子どもだけでなく大人の心も惹きつけるのだと思うのですが、飯能のバレーパークもそんなムーミンならではの雰囲気が随所に漂っていました。

次回はぜひ!ムーミン屋敷も見てみたい。フィンランドで見つけたビンテージのアイテムを使って、原作の雰囲気に忠実に作られた空間のようで、訪れたメディアや関係者の方が口々に絶賛していましたね。ムーミン屋敷やショータイムについては北欧区さんがレポートしているので、ぜひご参考にどうぞ!

帰りがけにマーケットホールをのぞいて、ロバーツコーヒーでシナモンロールを発見。ロバーツコーヒーはフィンランドのコーヒーチェーンで、旅の途中でも頼れる存在です。疲れた体にはシナモンロールです。

マーケットホールの一階には食材やお酒も売ってました。このオレンジ色の飲み物はクラフトジンを使った飲みやすいロングドリンク。とてもおいしくておすすめです。

2階にはヘルシンキの人気セレクトショップTREが入っていて、フィンランドデザインのアクセサリーや文房具など可愛いものがいっぱい。これはヘルシンキやフィンランドの代表的なものをイラストにした神経衰弱のカード。

フィンランドデザインが誇るデザイナー、エーロ・アールニオの代表作にしてポップカルチャーの代名詞のような作品、ボールチェアの!斬新な使い方にしびれる……。飯能でフィンランド、満喫しました!

コケムスでの展示にて。正解は、ムーミンバレーパークでどうぞ!