2/9(土)スタート!トーキョーノーザンライツフェスティバル 2019 観たいのはこれ!


さて、今年もやってきました!北欧5カ国から集まった話題作、問題作、レア作からアレな作品まで、渋谷のユーロスペースで一挙に上映される北欧映画の一週間、トーキョーノーザンライツフェスティバル2019。ここでしか見られない作品や、これはいま観るべきな作品が今年もたくさんやってきます。

今年はなんとなーく、全体的にシリアスなテーマの作品が多い気がしています。移民、格差社会、差別、弱者。あ、そうか。シリアスじゃない。これがいまの世の中のリアルなのだった。それでは今年の私が観たい作品、勝手に事前レビューのスタートです。

アマチュアズ(スウェーデン)
https://youtu.be/ssc5m6RIAWc
スウェーデンというと『ベニスに死す』の少年タジオのような、『有閑倶楽部』の美童グランマニエのようなプラチナブロンドの王子様像を思い浮かべてしまう人ー。はーい、私も以前はそうでした。予告を観る限り「ん?これどこの映画?」と思ってしまう本作。テーマは移民と多様性。ガブリエラ・ピッシュレル監督本人もボスニア人の母親とオーストリア人の父親を持つ移民二世で、移民大国スウェーデンで育ったとなればこれは切れ味が鋭そうです。事実、本作は北欧最大の映画祭、ヨーテボリ映画祭で最優秀ノルディック映画賞に輝いていますし、監督のプロフィールを見るとグルドバッケ(スウェーデンのアカデミー賞にあたる映画賞)にベネチア映画祭と、すごい受賞歴。音楽も良さそう、テンポも良さそう。切れ味、良さそう〜〜!軽やかにぐいぐいと引き込まれて、スパッと切れ味爽やかに胸をえぐられそう〜〜!

イート・スリープ・ダイ(スウェーデン)

こちらもピッシュレル監督の作品で、本作はグルドバッケ賞の作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞を獲ってるんですね。こっちも親の介護、解雇、差別とテーマはヘビー級。しかし疾走感があるなあ、この予告編。これまたぐいぐいきそうだなあ。切れ味鋭く、痛そうだなあ。だけど3年A組のブッキー先生も言ってたもんね。痛い思いをしないと、大人になれないって。
ちなみにキレッキレ(たぶん)なピッシュレル監督は今回ノーザンに合わせて来日されます。9日の上映後トークのほか、8日に開催される前夜祭でも撮影監督やプロデューサーとトークイベントをされる予定なので、御本人の切れ味のほどもぜひ合わせて楽しみたいところ。

マン&ベイビー(フィンランド)

イクメン?なにそれおいしいの?…フィンランドの人と話していると割とそういう反応があります。彼の国では育児を母親だけでなく両親がするのはいまや当たり前。昨年、谷中のひるねこBOOKSさんでデンマークの絵本を紹介するイベントがありまして「とくに前置きもなく、お父さんが家で普通に子どもの面倒を見ている(お母さんは普通に不在)」な絵本も普通にありましたね。とはいえ、実際にワンオペになったお父さんってどうなの?それは私たちも知りたいところ。バタフライチェアに座って赤ちゃんをあやし、授乳するママたちに囲まれて目を白黒させるパパ。これ絶対におもしろいやつだと思います。

サマーチルドレン(アイスランド・ノルウェー)

キラキラした映像で切ないテーマを淡々と描き、最後にどーんと観客を突き落としたりもする(そしてさらに技をキメてノックアウトしたりする)、そんなアイスランド映画の系譜ではないかと思われる本作。妖精をガチで信じる国、アイスランドならではの予想のはるか斜め上を行くファンタジー要素も味わえそう。最後は突き落とされるのか、それともハートウォーミングが待っているのか!そんな油断ならない感じも北欧映画っぽいですね。しかし子ども達が可愛い。どうか、突き落とされませんように。

なんだか今回はマゾっぽいレビューになってしまいましたが(北欧映画をたくさん見るとだんだんとそうなる)、『かもめ・フィンランド好きのバイブル・食堂』や可愛いの波状攻撃に白旗あげるしかないオンネリ&アンネリシリーズの新作など、疲れぎみのあなたを優しく包んでくれそうな作品もありますよ(オンネリ&アンネリもまた可愛いだけじゃなく、さらりと重いテーマをぶっこんできますけど)。

あとフィンランド軍botをフォローしてる身としては『若き兵士たち』も気になるなあ〜〜。ていうか、ソ連・フィンランド関係とフィンランドの安全保障政策が専門(!)の軍事評論家の先生のトーク、気になるなあ〜。

全上映作品やトークイベントはこちらのページから確認できます。

観終えてガッツポーズしたくなった作品も、今でもふと台詞が頭をよぎる作品も、そして生涯この記録は破られないであろうナンバーワントラウマ映画を観たのもここノーザンライツフェスティバルでした。ハンマーで頭をガツンと殴られたような、そうだ映画ってエンターテイメントなだけじゃないんだと思い知らされたのもノーザンライツ。ぬるい旅より、よほど遠くへ連れて行ってくれるんじゃないかと思うノーザンライツ。今年はどれだけガツンとやられるのか、どれほど呆然とするのか、わくわくのドキドキですよ!私は今年もノーザンとともに、自分の知らなかった世界を見に行ってきます。

だいじょうぶ、キレッキレにえぐられても、ユーロスペースから歩いて2分のミッケラー(デンマーク)でおいしいクラフトビールを飲めば、ほっとひと息つけますよ。ノーザンとコラボしている北欧メニューのカフェやバーのリストはこちらから〜