キュッパのびじゅつかん@東京都美術館

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上野の東京都美術館で開催中の『キュッパのびじゅつかん』展に行ってきました。
ノルウェー人のオーシル・カンスタ・ヨンセンさんが描くキュッパの絵本は、本国はもちろん日本をはじめ世界各国で出版されている人気作品。可愛い絵柄ながら、キュッパが丸太の男の子という設定もぶっ飛んでるし、「はくぶつかん」を作ったり、その後の展開も型破りな物語です。
まずは映像でキュッパの世界をのぞきます。キュッパは物を集めるのが大好き。家に集めた物が大量にたまっていき……。絵本を読んでいる方はご存知と思いますが、可愛いだけじゃなく名言が多いんですよね、キュッパ。とくにおばあちゃんからの助言が素晴らしい!「たくさんのひとにきてもらいたかったら、いろんなところでおしらせしてごらん」…はい。最近イベントが増えている身にすぱっとささる言葉です。キュッパもさらりといいこと言います。「ひょっとしてこれってげいじゅつさくひんってやつなのかな?」
同フロアには日本の芸術家達が、キュッパのように集めたコレクションが展示されています。全国各地で採取された土(こんなに色が違うんだ!と驚き)、江戸時代に生きた粋人、木村蒹葭堂のコレクション。美術館や博物館でうやうやしいコメントとともに展示されると、つい身構えてしまうのに、キュッパの視点で見ると「色がきれいー」「この形おもしろーい」「よくこんなに集めたねー」と素直に楽しめてしまう。美術館って、博物館ってなんだろう?アートって何だろう?そんな根源的な問いが心に浮かんできます。
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そして本展覧会の肝である、「みつめて、あつめて、ならべて、しらべて」を体験するコーナーへ。小さなネジ、ハギレ、ボタン、ガラスの瓶、絵ハガキ……広い会場に並ぶ「なんてことはない物」が、キュッパの視点でみつめるとアートのかけらになっていく。ならべる箱には色紙がしいてあって「この色紙次第でも、見え方が違うんですよ」と係の方。ちなみに、ここにある物はリサイクルショップやスタッフの協力で集まったそうです。
旅先の古道具屋で目を皿のようにして見て回る、あの感覚。子どものころの少し緊張した図工の時間のような感覚。時間と空間をたっぷり使ってものと対話する懐かしさ。原作者のオーシルさんは物を並べる行為を「メディテーション」と呼んでいますが、まさにそう。ただひたすら物を見つめて、自分の気に入ったものを選んで、吟味して並べる。それがあんなにも楽しく、しかも気持ちがしゃんと、すっきりするとは。キュッパ……恐ろしい子!
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ちなみに博物館を開いちゃうほど物が増えすぎて最終的には困ったことになるキュッパへのアドバイスもまた冴えてるおばあちゃん。こんまりさんもビックリです。ああ、あんな痛快なおばあちゃんがそばにいたらなあ!
アーティストのお父さんをもち、妹さんもイラストレーターと芸術一家のオーシルさん。展覧会ではオーシルさんのこれまでの作品や原画、妹さんの作品までを展示したスペースもあります。とくに惹かれたのが『I♡ベルゲン』の絵本。キュッパには森の背景が似合いますが、オーシルさんが描く色彩豊かなベルゲンの街の風景がまたいいのですよ!ああ、ベルゲンいつか行きたい。この絵本を手に入れたい(お願い青木さん)。
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展覧会参加アーティストには日比野克彦氏の名前も。体感スペースにある巨大な棚『bigdatana-たなはもののすみか』や、瀬戸内海の海底から採取したコレクションには日々野さんらしい言葉が添えてあります。日比野さん、ロマンチックだなあ。オーシルさんが淡々としているだけに好対照。
展覧会の最後にはアラン・ケイン氏による「イギリス1960〜70年代のろくろで作られた工芸復古時代を象徴する陶磁器」を並べた『忘れられた器たちの棲み家』が。忘れられたり、思い出されて盛り上がられたり、その時々の人間の趣味嗜好で、ガラクタになったり超逸品になったりする器たち……その堺目は一体どこに……なんてことを、北欧ビンテージショップも一応営む身としては思わずにいられませんでした。
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さてここからは展覧会のメイキング。2月に行われたローンチイベントで会場のイメージなどが語られました。キュッパ展には、子供たちの美術館デビューを応援するをプロジェクト『あいうえの』が関わっています。日比野克彦さんはその推進役。
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上野の森で集めてきたという枝や葉っぱ。オーシルさんの手にかかるとアートになっちゃう。並べるって大事だ!
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じつはオーシルさんから手描きの名刺をもらっちゃいました〜♡いいなあこんな風に描けたら……オーシルさんが描いた上野の森のスケッチも素晴らしいので、ぜひ展覧会で見てみてください。
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カラフルなお料理もどことなくキュッパの絵本の世界のよう。
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なんだか兄妹のようなお二人。日比野さんのセーターがノルディック風味なのも可愛いです。
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北欧の森の出世頭、キュッパ。展覧会会場ではキュッパの限定商品も売っていますよ!
最後に。キュッパの「マカロニ」の説明が、まさに自分が子どもの頃思っていたことと同じだったのですよね。キュッパのまなざしに自分を重ねる人も多いのだろうなあ。キュッパ展は子どもと一緒に楽しめるのはもちろん、一人でじっくり訪れたい気もする場所。だからこそ忘れがたい展覧会となったのかもなあ、なんて上野の森を歩きながら思いました。……恐ろしい子!
<お知らせ>
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1件の返信

  1. 2015年9月4日

    […] 『キュッパのびじゅつかん』展覧会レポートもぜひごらんください。 […]