一条工務店の新しい住宅シリーズ「ナチュリア」の監修をしました

7月に新発売となった、一条工務店の新しい住宅シリーズ、ナチュリアの監修をしています。

これまで北欧のデザインやインテリアを紹介する本の執筆、レクチャーなどを通してその魅力を伝えてきましたが、ハウスメーカーさんとこうして仕事をするのは初めての試みです。

家づくりをする上で、北欧のインテリアを参考にしたい方はきっと多いと思います。北欧デザインの取り入れ方やノウハウといった情報は既にたくさんありますよね。では、肝心の家はどうなのかというと、案外と選択肢が少ないなと思っていました。北欧でおうち取材をしたり、友人の家を訪れるたび「こういう普通の部屋がいいんだけどなあ!」と思うのですが、その「普通」がなかなかない。

北欧インテリアといえば、優れたデザインの家具や照明、カラフルなファブリックや壁紙など、ぱっと目を引くデザインや色が思い浮かびます。実際に現地の家でもそうしたアイテムを上手に取り入れている方は多いです。一方で、家(部屋)自体は一見すると極めてシンプル。壁も床も天井も窓枠も白い、シンプルの極みのような部屋もよくあります。でもだからこそ色や柄、家具やアートが際立つんですよね。そして大きな窓がアクセントになっていたり、窓枠や建具に味わいやひと工夫があったりする。だからシンプルだけど、無機質とは違う。この北欧らしいシンプルな部屋は、どうやったら叶うんだろうな、とつねづね思っていました。

今回、一条さんと取り組んだ「ナチュリア」シリーズではまさにその普通さ、シンプルさを目指しました。とくに意識したのは、引き算もすること。「らしさ」を出すために、ついつい要素をプラスしていきたくなるものですが、デザイン=飾りではないんですよね。これは北欧の家具づくりやデザインにも通じる考え方だと思います。

ナチュリアシリーズでは、4つの北欧スタイルを提案しています。

【Himmel ヒンメル】
フィンランドやスウェーデンで見るような、天井も壁も床も窓枠も白を基調にした、もっともシンプルで、カラフルなテキスタイルや色が映えるスタイル

【Glädje グレーデ】 
北欧のクラシックなアパートメントで見る腰パネルを取り入れ、垂れ壁や小壁でゆるやかに空間を区切ることで、ビンテージ家具などもフィットするスタイル

【Hytte ヒュッテ】 
ノルウェーの人々が休暇を過ごす山小屋(ヒュッテ)のように、木の風合いを活かしたリラックスできる空間。家族の写真や思い出も飾りたい、あたたかな感じ

【Aino アイノ】
北欧と日本のデザインをミックスさせた、ここ数年人気のジャパンディスタイルが似合う空間。ミニマルでモダンな北欧インテリアを好む方におすすめ

「北欧インテリア」とひと言でいっても、実際にはいろいろなスタイルがあって、白樺材など白木を使った家具が中心の明るくモダンな部屋もあれば、チーク材のビンテージ家具で彩られたレトロなスタイルもあります。カラフルなテキスタイルやアートが目立つ遊び心ある部屋もあれば、白やモノトーンをベースにした空間を好む人もいます。

今回のナチュリアシリーズでは、家づくりをする人それぞれがもつ「北欧インテリア」のイメージを叶えられるよう、家具や暮らし方に合わせた、4タイプの提案をできるのもいいなと思いました。

壁の白をほんの少しグレー寄りにするか、ぱきっと明るいホワイトにするか。木の風合いを感じられる面を増やすか、控えめにするか。4スタイルともシンプルなのは共通ですが、細かな調整によって部屋の印象が変わる、そういう部分も見ていただけたらと思っています。

一条工務店【ナチュリア】誕生

ナチュリアシリーズの詳細は、一条工務店のページやカタログから見ていただくとして、最後に、今回のお話を引き受けた背景と、このシリーズに込めた思いを書いておきたいと思います。

ナチュリアは一条さんのラインナップのなかで比較的、手頃なクラスの商品で、それもいいなと思っています。「北欧」を謳うからには、誰にでも手が届きやすくあってほしいと思っていたからです。

20年以上、北欧で家を見てきて、やっぱりいいなと思うのは、誰もがちょうどいい感じの部屋で暮らしている、そう感じられることです。もちろん個々のセンスの良さにも感銘を受けますが、とくにデザインや家具に詳しくない友人も「なんだかいい感じ」の家に住んでいるんですよね。それがすごいなと思うんです。仕事が忙しそうな人も、子育て中の人も、とくにお金をかけられなくても、高齢の方も、それぞれ自分らしく「いい感じ」の部屋に暮らしている。これこそが、北欧がインテリアの国として世界から注目されるいちばんの理由なんじゃないかな、とわたしは思っています。

北欧インテリアというと、敷居が高いと思われる方もいらっしゃると思います。確かに名作家具や照明など高級な製品も多いです。でも北欧の住宅や家具、日用品のデザインはもともと「誰もが質の良いデザインとともに、よりよい暮らしができる」ように、国や企業やデザイナーが目指して生まれたもの。かつてヨーロッパでは美しい調度品や食器は、王族や貴族の栄華を誇示するべく生まれてきましたが、20世紀の中盤にかけて生まれた北欧の家、家具や日用品は、それとは対局にある存在で、普通の人々の暮らしをよくするために生まれたものなんです。ナチュリアを作るにあたって、その原点を忘れたくないと思っていました。

一条工務店さんとは、以前、スタイリングやセミナーでご一緒したことに加えて、エコ住宅や日本の家の断熱性能について調べていたときに、たびたび一条さんの名前を目にしていました。「家は、性能。」と掲げ、居住性や環境負担にも関係してくる断熱性能をとくに重視した家づくりは、北欧の家のあり方とも通じると思っていたので、今回のお声がけは嬉しいことでした。ナチュリアシリーズを進めていく上で、北欧の住まいの形とともに、その裏側にある考え方にも耳を傾けてくださったので、とてもいい形になったのではないかなと思っています。

そしてただいま、ナチュリアのリアルサイズのモデルハウスや宿泊できる棟を、絶賛建設中です!
アイノは埼玉県の深谷、グレーデは浜松、ヒンメルは新潟にできたところで、ヒュッテも9月には完成予定。

各タイプのスタイリングにもしっかり関わらせていただいて、10月中旬頃には4タイプの特徴、住まい方の例がよりわかる、本カタログができる予定です。スタイリングでは、わたしがこれまでに見てきた「これぞ北欧インテリア!」を存分につめこんでいるので、北欧らしい家・部屋づくりがしたい方にぜひ見ていただけたら嬉しいです(モデルハウスやカタログでは、北欧インテリアの肝となる、照明づかいも一部、見て体感していただけるかと思います)。

カタログ、詳細はこちらのページよりどうぞ


一条工務店【ナチュリア】