2021年に読んだ北欧の本、おすすめ5選(+α)

さて2021年の読んでよかった北欧の本です。今年は激動の一年で、あまり本を読む時間がとれなかったような気がしますが、思い返してみたら案外といろいろ読んでいました。本を読むことで救われたことも多かったなあ……!さあ、いってみましょー

1.『メッセージ トーベ・ヤンソン自選短篇集』

トーベ・ヤンソンが生涯最後に編んだという、未邦訳を含む短編集。今年はちょうど映画『トーベ/TOVE』の公開もあり、トーベ・ヤンソンという人物を深く知る機会が多かった(『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』という本も刊行されています。こちらはまだ読んでない)。私はちょうど映画鑑賞後、その余韻に浸りつつ、若き日のトーベがみずみずしい筆致で描いた日常をゆっくり味わいました。大島依提亜さんによる美しい装丁も素敵、繰り返し読み返したくなる一冊です。

ちょうどこの本と同時期に読んでいたのがアストリッド・リンドグレーンの『山賊のむすめ ローニャ』新訳。映画やアニメ化もされているので、なんとなーくどんな話かは知っていましたが、ちゃんと読んでいなかったのです。これも同じく、本で読むとローニャのセリフといい心情といい、みずみずしい!やっぱり本で読むの大事ね、と思ったのでした。この2冊をならべると装丁の美しさが引き立つのも気に入っております。

2.『Real Nordic Living』
(英語)

北欧現地でも「北欧らしさ」を語る本が増えている昨今。デンマーク発の本著ではデザイン、フード、アート、トラベルと4つの切り口から人物やスポットなどが美しい写真とともに紹介されています。日本で紹介されるものとは異なるセレクションが魅力で、注目のアーティストやショップとともに、ムンクやハンマースホイのような歴史上の人物の重要性も織り交ぜて紹介されているのがユニーク。

個人的には元祖スーパーモデルの一人、ヘレナ・クリステンセンの登場に感激。そうだこの人はヒュッゲの国の人なのだと思いながらインタビューを堪能しました。

3.『Gammalt och Kärt』
(スウェーデン語)

原題は「親愛なる古きもの」といった意味だそうです。1970年代に刊行されたインテリア本で、レースのカーテンやチェックのテーブルクロス、キッチンのあしらいや窓の飾り方などスウェーデンの昔ながらの「古き良きインテリア」を写真たっぷりで紹介。70年代の視点でレトロなスタイルを再発見できるのが楽しい。ちなみにこの本は、北欧やバルト三国の手芸・インテリア本などが充実している古書玉椿さんで手に入れました。旅にいけない=蚤の市で古本探しができない日々、ひさしぶりにジャケ買いしてワクワクしながらページをめくった一冊です(スウェーデン語なので読めないんですけどね)。

いま見てもなお役立ちそうなインテリアのアイデアいっぱいです。いいわあ〜〜♥

4.『旅するエストニア料理レシピ』

フィンランドから気軽に行けて、言語や文化でも共通する部分が多く、北欧好きの間でも注目度の高まるエストニア。その伝統料理を日本でも作りやすいレシピで紹介する一冊です。食や文化にまつわるエッセイも豊富で、タイトル通りエストニアを旅する気分が味わえます。

その国の文化や社会、自然を知る上でもやはり食事って肝だなあと感じさせる素敵な一冊です。料理をしない人でも紀行文として楽しめるはず。著者のエストニア料理屋さんこと佐々木敬子さんは精力的に料理のワークショップやエストニア関連イベントも開催されているので、そちらも要チェックです。自費出版で在庫も少なくなってきているとのこと、気になる方はぜひお早めに。

5.『さむがりやのスティーナ』

アイスランド絵本大賞、アイスランド女性文学賞児童・ヤングアダルト部門受賞の人気絵本が日本にもやってきました!さむがりやで、外になんか絶対に出たくない!そんなスティーナがおうちで冬を暖かくご機嫌に過ごすためのアイデアが満載。イラストやレシピの数々も魅力で、物語の結末にも心温まります。先日の北欧しかくトークでも別の絵本が紹介されていた作者のラニ・ヤマモトさん、ぜひ他の本も邦訳されたらいいなあ!

見よ、スティーナの発明を!

番外編:この年末年始に読みたい2冊

年末のBASEのセールで、欲しかった北欧本をひるねこBOOKSさんより購入!まだ読み終えてませんが、フライングで紹介しちゃいます。

『TAPIO WIRKKALA』

ガラス、木工、プロダクト、紙幣……とあらゆる分野にわたり精力的に作品を残したフィンランドが誇るデザイナー、タピオ・ヴィルカラ。1981年にロシアで行われた回顧展のために、自身が監修したという記念すべき一冊の日本語版が今年刊行されました。タピオの親友や島崎信先生のインタビューも収録とのこと、楽しみすぎます。

『薪を焚く』

暖炉好き、薪好きな北欧人のなかでも、とくに焚き火への情熱がハンパないと思われるノルウェー発、薪愛好家、研究家へのインタビューが綴られた一冊。北欧でまたたく間に人気となり、世界中で翻訳されている話題の一冊です。冒頭にあった言葉「たかだか100年ごときのファンヒーターやパラフィンオイルタンクで、薪への恩義が薄れるはずはない」……本も厚いが、中身も熱そう。