『北欧のおいしい話』10周年の、北欧BOOKからのお知らせ

新年度になりましたね。コロナで世界中が大変なことになっていて、それどころじゃない感もありますし、フリーで働いているとそもそも年度の変わり目を忘れがちなのですが、今年は北欧BOOKにとって大きな節目の年となりました。

最初の本『北欧のおいしい話』が出たのが2010年。今年はちょうど10年めなので、何か記念になることができたらな、アイスランドの食&コーヒーネタも追加できるし、『北欧のおいしい話★デラックス』みたいなリニューアル本もいいなとか編集さんとも相談をしていたのですが……じつはですね、これまで『北欧のおいしい話』や『3日でまわる北欧』シリーズを出してきたスペースシャワーネットワークの出版事業が昨年度で終了したんです。

『北欧のおいしい話』は、もともとブルース・インターアクションズという出版社から出ていました。その後ブルースはP-vineとなり、そしてスペースシャワーネットワークとなりました。といっても、社名は変わったものの一緒に本を作っている担当編集さん(ニックネームはハカセ。当時テレビに出ていたビューティ博士みたいな人と似ていたため)は同じだったのであまり変化は感じていませんでした。社名ロゴを間違えないようにしなくちゃねというくらい。

今回、スペシャ出版終了の話を最初に聞いた時は、レイキャビク本を作っている最中だったので、私の頭にいちばんに浮かんだのは「レイキャビク本は出せるのか!?」でした。これまで出した本がどうなるか、とまでは思いもよらなかったのですが、徐々に気づいてきました。出版事業終了=出版社がなくなるということで、えっ、それって、もしかしてこれまで出していた本がゼゼゼ、ゼッ●ンに!?●ッパ●??……すべての著者が恐れるあのあの……文字にするのも恐ろしいアレ!?重版じゃなくて!?

ハカセとこれまで一緒に作ってきた本は9冊。改訂版と新装版も入れるとじつに13冊!とくに『3日でまわる北欧』はシリーズとして続けてこれたこともあって、初めて会う方にも「あ、3日でまわるの人ですね!」と言われるくらい、私の活動の大きな部分を占めるもの。もしかして私、お先真っ暗なの?とすこーしずつ事態の大きさに気づいていったのですが、結果から言いますと、ビューティなハカセが奔走してくれて、新しい出版社から出せることになりました。レイキャビク版が既に出ていますが、ありがたいことに新しい出版社のトゥーヴァージンズさんが『3日でまわる北欧』をシリーズとして引き継いでくださることになったのです。4月末にはストックホルム版が出ますが、この後コペンハーゲン、ヘルシンキ、オスロと今年中には随時、トゥーヴァージンズさんから新装版を出版する予定です。

その他の既刊についても在庫がある分は、トゥーヴァージンズさんが引き継いでくださることに。もしかしてドラマ『重版出来!』で見たような恐怖の断裁に送られてしまうのか……と心が凍りつきそうな思いだったので、その点はほっとしています。具体的にお伝えすると『北欧のおいしい話』と『3度めの北欧』は在庫があったので引き継がれます。その他は在庫がないため、いま書店さんにある分が売れればそれでおしまいになります。なので、もしもこれまでの本で読んでみたいな〜という一冊が書店にあったら、それを逃すと次はない、かもしれないので、この機会にぜひ手元に迎え入れてやってください。

冒頭に書いたように『北欧のおいしい話』や『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』など、北欧の食文化を伝えるシリーズは改訂版なのか新装版なのか、はたまたデラックスのような新しい形になるのかわかりませんが、続けたいなとは思っています。とはいえ、まずは今年は『3日でまわる北欧』シリーズに集中することになりそうです。そして改訂版や新装版の際には、いつもこれが寂しいところなのですが、愛着のあった表紙が変わることになります。なので、このイラストの表紙はこれで終了なんですよね。北欧が好きなデザイナーの友人が描いてくれたイラストで、この表紙好きだったなあ!ただ、思えばガイドブックという性格なのに10年も重版という形で売っていただいたことが奇跡なのかもしれません。『北欧のおいしい話』は5刷まで行きましたしね!(『北欧のおいしい時間』も重版、コーヒー本は重版&改訂版までいきました♪)改めて買っていただいたみなさまに感謝。

私のお店、Shop Sticka でも『北欧のおいしい話』『北欧のおいしい時間』『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』は残り少ないですが置いています。『3日でまわる北欧』のコペンハーゲンとヘルシンキも少部数ですがまだあります。コペンハーゲン、ヘルシンキ、オスロは新装版が出るまでに、まだもう少し時間がかかるので、今ほしい!という方がいらしたら、ぜひ。ちなみに在庫数的に『3度めの北欧』は余裕があったので、少し多めに買い取ってSticka に置いています。『3度めの北欧』は初めて旅エッセイの形で書いた、とても思い入れのある一冊です。ご興味ある方はこの機会に手にしていただけたら嬉しいです。

こんな時期ですので、書籍は通販できるようにとオンラインショップも立ち上げました!。購入をご希望の方は、Stickaオンラインからご注文ください。ご希望の方にはサイン入りでお届けしますので備考欄にサイン希望(お名前入りの場合はご希望の氏名も)とお書き添えください。『北欧のおもてなし』や『北欧ゆるとりっぷ』、『いろはに北欧』など、スペシャさん以外の書籍もご対応できます。

今回のことでつくづく思ったのは、私は一緒に本を作る人に恵まれているなということです。会社的に大変な状況で「すみませんが、はい終わりです」となっても、おかしくなかったわけで。今回の事態を比較的冷静に受け止められたのは、ちょっと林修先生にも似ているハカセが、きっとなんとかしてくれるだろうという安心感があったからです。ハカセとは今後も一緒に面白い本を作っていけそうですし、トゥーヴァージンズさんとはレイキャビク版で既にご一緒していますが、この出版社さんにつないでいただけてよかったな〜と思うことがもう既にいろいろありまして。信頼できる人たちと仕事ができるというのは、フリーランスの書き手にとっては本当にありがたいことです。トゥーヴァージンズさんはカフェ兼用のイベントスペースも運営していて、そこでも何かできそうなので、いまはちょっと様子見の時期ではありますが、それも楽しみにしています。
そしてブルース時代からずっとお世話になってきた営業のNさん。これも『重版出来!』と重なる経験なのですが、一緒に書店まわりをしたり、色紙書きをして、ああこうやって営業さんが売り場を開拓して、本を売ってくれるから私は書き続けていられるのだなって、私は彼から教わったんですよね。あの経験がなかったら書店さん、書店員さんがいかに愛情を持って売り場を作っているか、そこに気づけなかったかもしれない。書店まわりをするようになってから、ネット大手で買わずにあの書店で買おう、書店に来たらなんか買おうっていう気になりましたもんね。自分の本を応援してもらえるのは嬉しいし、私は書店が好きで、よい書店のある町が好きです。Nさんともう一緒に書店まわりができないのは寂しいけれど、この場を借りて感謝を伝えたいです。Nさん、本当にありがとうございました。ちなみに新しい営業さんは、Nさんと髪型が似ていて何か運命を感じます。

さて最後に。今回のコロナ禍で旅行業界は大きなダメージを受けていて、おつきあいのある旅行会社さんも踏ん張っています。航空会社も大変そうです。現地のカフェやショップのみなさんも。普通に旅ができる日常がどれだけ尊いか、身にしみる日々です。いましばらくは旅することができないけれど、でも旅ができる日はまたやってくるし、旅はいいよ〜、北欧の旅はいいよ〜と私は今後も書き続けていきたいと思います。改めてみなさま、どうぞよろしくお願いします。ストックホルム版は5月2末の発売予定です!(当初の予定では4月末でしたが、現状をみて発売予定日が延期となりました)

落ち着いたら、ぜひイベント『北欧ぷちとりっぷ』もやりたいですね。会場の東京カルチャーカルチャーさんも、いま本当に大変だろうなあ……。落ち着いたらぜひやりましょう!(朗報:我らがアイスランド男子が日本に戻ってくるかも〜)それまではみなさまどうぞ、ご安全に!

1件の返信

  1. 2020年4月23日

    […] 『北欧のおいしい話』10周年の、北欧BOOKからのお知らせ  こちらの記事で詳しく書いていますが、『北欧のおいしい話』シリーズ、『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』『3度め […]