11/8公開。北限の試練とマッツの組み合わせを堪能すべし!『残された者』

ここ数年、北欧映画の豊作が続いております。そしてこの秋は「北欧の至宝」という冠がふさわしいデンマークが誇る世界的俳優、a.k.a アディダス大好き天使、マッツ・ミケルセンが豊作です! 14年の時を経て公開された『アダムズ・アップル』、ウィレム・デフォー扮するゴッホが話題の映画『永遠の門 ゴッホの見た未来』、マッツとのラブラブぶりも話題なゲームクリエイター、小島秀夫氏の新作『デス・ストランディング』と出演作が目白押し。マッツファンの間ではウキウキワクワク囁かれていた秋のマッツ祭が粛々と開催されているわけですが、その真打ちともいえる作品が、本作『残された者』です。

映画の神様、あなたはなぜマッツにこうも試練を与えるのでしょうか。ええ、そのご判断はとても正しいんですけれど。世間的にはハンニバルやスターウォーズが有名ですし、イカレキャラも、キレキャラも絶品だけれど、やはりマッツ様には試練が似合う。この『残された者』という邦題は、マッツがその名を世に知らしめた出世作であり、マッツ試練モノの最高峰といわれる『偽りなき者』を彷彿とさせますが、ええ本作でも我らがマッツにはバッシバシに試練が与えられるのです。

北極に不時着した男が寒さ、飢え、孤独、白熊、と押し寄せる試練に立ち向かう……そんなサバイバル物なんですが、サバイバル物って、主人公の能力のさじ加減が難しいですよね。あんまり強すぎても白けるし、あんまり説得力のない体格や身のこなしではリアリティにかける。さて我らがマッツ様はどうか。いや〜本作、妙にタメになるんですよね。そうか、北極に不時着したらそうやって生き延びればいいのか……!って、いやいやそういう映画ではないんですけどね。魚の獲り方、魚の食し方、SOSサインの出し方。時間の感覚がなくなる中、肉体と精神を正常に保つため、きっちりとタイマーを使って日々のルーティンをこなす。そうしたサバイバル術のひとつひとつが妙に地に足ついていて説得力があり、こういうの学校で習うのかなー?とか、マッツ、そのままそこで3年くらい暮らせそうだね……とか妙に落ち着いて見入ってしまう。なんでしょうかこの安定感。やっぱりマッツが寒さに強くて自然大好きな北欧デンマークっ子だからでしょうか。しかし神はそんなマッツ様に、またも試練を与えるのでした。ああ、この世で最も試練の似合う男、マッツ。

物語の舞台は北極とされていますが実際の撮影はアイスランドで行われたそうで、雪と氷に覆われた人類滅亡感の漂う景色も見もの。今年9月のハリウッドコレクションに来日したマッツ様、撮影時のエピソードについても話していましたが、とにかく風がすごくてある時など強風で車の扉が飛んでいっちゃったんだそうです。アイスランドって首都レイキャヴィクでも風が強いことで知られているのですが、車の扉も持っていってしまうのか……恐るべし、アイスランドの風。そして「これが火星に不時着する物語だったら、僕は選ばれなかったろうね」とも。そう本作の魅力はなんといっても、北限の地とマッツの組み合わせ。不謹慎にもどこか「北極の自然よ、もっとやれー!マッツよ魅せてくれー!」と思ってしまう私がいるのです。ええ、マッツ様のベスト・オブ・試練物リストにまたひとつ名作が加わりましたよ!

『残された者 北の極地』公式サイト

おまけ)

ハリコン会場ではさまざまなマッツ・グッズが販売されていたのですが、ひときわ目を引いたのがこれ。『残された者』のオフィシャルグッズ、マッツのアイマスク〜!疲労とおそらく雪焼けとでボロボロになりながらも静かに強く生きる意志を感じさせるマッツの目、非常に印象的でしたね。それにしてもこれ、センス良すぎでしょう。