2018年のベスト★北欧イベントと本と映画と

さて2018年もあと少しで終了です!インスタでは「今年のベスト9」が出回っておりますが、今年の北欧イベントや観た映画、読んだ本を振り返ってみます。

★北欧イベント BEST5★


①20年ぶりのアアルト展
葉山の神奈川県立近代美術館で開催された展覧会『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』。2014年にドイツで開催されてから足掛け4年でついに日本へ。建築家のアーカイブというと模型や図面が中心になるところ、アアルト建築の写真がフィーチャーされていたのが面白い。美術館の雰囲気も立地もアアルト展の内容にぴったりで、ちょっとした旅をした気分。
ちなみに私が北欧に興味をもつきっかけとなったのが1998年に西武美術館で開催されていたアアルト展。あれから20年、アアルトとの出会いでこの20年が、というか私の人生がどれだけ変わったかと思うと、また感慨深かったです。
詳しくは→『アルヴァ・アアルト もうひとつの自然』展が神奈川県立近代美術館 葉山でスタート
アアルト展は現在、名古屋市美術館で開催中。その後は東京ステーションギャラリー、青森県立美術館を巡回しますので、機会のある方はぜひおすすめ。

②Mikkeller Beer Celebration Tokyo
デンマークへ行くたびに取材していたミッケラー。彼らが主催するビアフェスは世界のクラフトビールファンが一目置くクレイジーさ。それがついに日本で開催される日が来ようとは。1セッションの参加料12500円、4セッション+特典付チケットは56000円という価格設定で、北欧ならともかく今の日本でどれだけアピールできるのか、そんなところも気になったけれど、ものすごく贅沢でハッピーなビアフェスでした。日本でも猛者なクラフトビール好きが開場とともにダッシュして向かうビール、その場にいる人みんながインスタ投稿していた美しすぎるビール。酔っ払って飲んでもなお「なんだこれ、おいしい!」と目の覚めるビール。私が飛行機と電車とバスを乗り継いで向かった憧れのスウェーデンクラフトビールも日本初上陸で参加しておりました。感無量です。
詳しくは→デンマークからクレイジーなビアフェスがやってくる!MBCT2018ってどんなイベント?
ミッケラー東京は年末年始も営業中!(通常の営業時間とは少し変わります)。おせちに飽きたらクラフトビールもね!

③フィンランドセンター「しあわせの定義」を語る
今年、設立20周年を迎えたフィンランドセンターでも数々のイベントを開催。中でも面白かったのが、文学や芸術、建築、科学などさまざまな分野の専門家がそれぞれに「しあわせの定義」を語った講演です。しあわせになりたいのはみな同じ。でもそこで大切なのは「しあわせって何?」ということ。しあわせな国ランキング、世界1位に選ばれたフィンランドだからこそ説得力もある。とても良い講演会でした。
詳しくは→幸福度ランキング1位のフィンランドが考える「しあわせの定義とは?」
フィンランドセンターでは面白い企画を随時開催しているので、より深くフィンランドを知りたい人はFBページなどでフォローしてみてくださいね。

④長くつ下のピッピの世界展
2018年はスウェーデンと日本が外交関係を樹立して150周年となった記念年。多くの展覧会やイベントが企画され、わくわくの1年だったのですが、予想以上に素晴らしかったのがピッピ展です。大好きなスウェーデン版ピッピを描いたイングリッド・ニィマン作品の充実ぶりには垂涎。開会式にはリンドグレーンのお孫さんもいらして、改めてリンドグレーンの偉大さとピッピの面白さに気付かされた展示でした。
詳しくは→スウェーデンの人気者!『長くつ下のピッピの世界展』がスタート
ピッピ展は現在みやざきアートセンターで開催中。その後、京都の美術館「えき」KYOTO、名古屋の松坂屋美術館、福岡、愛媛を巡回予定です。

⑤スウェーデンハウス☓レ・クリント社『北欧の灯り』ギャラリーとクリスマスパーティ
駒沢にあるスウェーデンハウスのモデルルームでは、12月24日から、デンマークの照明ブランド、レ・クリントのCEOが監修した『北欧の灯りギャラリー』がオープン。それに先駆けてクリスマスパーティが開催されました。レ・クリントの照明をはじめ北欧インテリア製品をふんだんに使った空間の素敵かつ居心地のいいこと!CEOキムさんのヒュッゲの話がまた素晴らしくて「デザインでヒュッゲは作れるか?」「ヒュッゲにいちばん必要なものは?」と明快に話してくださいました(ヒュッゲの話は改めてまとめようと思います!)。やっぱり灯りで、インテリアも暮らしもこんなに変わるんだ〜〜だなと思った時間でした。

次点 ザリガニパーティ
フィンランドセンター主催の「スウェーデン系フィンランド人の文化を知る1週間」イベントの締めくくりに開催されたのはザリガニパーティ。アクアビットやビールをおともにただひたすらザリガニを食す。何より大事なのは歌。ヘーランゴールだけではない、酔っぱらいのための酔っぱらいによる歌の数々。こんなにはしゃいでるフィンランド人を初めて見ました。

★北欧の本 BEST5★


『あるノルウェーの大工の日記』 オーレ・トシュテンセン(エクスナレッジ)
仕事をして、生活をする日々。静かに、心に響く言葉の数々。寡黙で、穏やかで、たくましくて、決断力があって、真顔でジョークを言うノルウェー人。噛めば噛むほど面白いノルウェーの友人たちを思い出す、そんな一冊です。家づくりのリアルな裏面がのぞけるのも面白い。

『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議4 』 オーサ・イェークストロム(KADOKAWA)
オーサさんの日本の不思議シリーズはどれも面白いのですが、今回は満を持してのスウェーデン編が登場。スウェーデンを旅したことがある人にとってはあるある〜!であり、これから旅してみたい人には有益な情報いっぱい。

『長くつ下のピッピの世界展』図録
ニイマンが描くスウェーデン版ピッピをはじめ、イロン・ヴィークランドや桜井誠さんなど歴代ピッピの挿絵やリンドグレーンの言葉なども収録され、じっくり読み返したい図録。白眉は展覧会でも日本初公開と言われていたピッピのコミックが収録されているところ。しかも菱木晃子さんの訳付。展覧会ではゆっくり読めなかったページもじっくり楽しめます。表紙もいい。


『ブレケル・オスカルのバイリンガル日本茶BOOK』 ブレケル・オスカル(淡交社)
「アンドレじゃなくてオスカルです」とボケも忘れない貴公子オスカルの日本茶ガイドブック。いや、すごい。日本語の美しさ。日本茶の体系づけ。当たり前のように飲んでいるけれど、よく知らなかった日本茶の素晴らしさを教えてもらえる一冊。

『ノニーン! フィンランド人はどうして幸せなの?』 スサンナ・ペッテルソン、 迫村 裕子著(ネコ・パブリッシング)
ヒュッゲ本をはじめ、昨今は北欧のライフスタイルを解読すべくキーワードやしあわせ観について綴った本がぞくぞく発売されていますが、これは良い。一つ一つの設問がわかりやすく、スサンナさんと迫村さんというフィンランドと日本の間にいるお二人の言葉でそれぞれ語っているのもいいんです。スサンナさんは前述のフィンランドセンターによるしあわせ講義でも登壇されていましたが、こうしてしあわせとは何かを具体的に、かつ難しくなく語れる本って良いなと改めて思いました。あとノニーンの響きが面白すぎてずるい。

★北欧映画 BEST3★

①トム・オブ・フィンランド(フィンランド)
今年のトーキョーノーザンライツフェスティバルで一番楽しみにしていた作品。観終えて拳を突き上げたくなりました。これは今の時代にこそ上映されるべき映画、と心から思う。日本での配給ももちろん心待ちにしていますが、これアメリカでも上映されたらいいのに。「やーい、おまえの大統領、ドナルド・トランプ〜」と世界中から指を差されているアメリカのみなさんが「俺たちの国ってこんなに素晴らしい国だったんだな……」って涙目で拳を突き上げること必至。全米が泣く。あ、ちなみにトム・オブ・フィンランドはフィンランド出身の世界的に有名なハードゲイのアーティストのことです。
今年のノーザンの見どころを解説した記事→2/10〜開催。トーキョーノーザンライツフェスティバル 2018 観たいのはこれだ!
そして来年の上映作品&タイムテーブルが発表されました!気づけばあと約1ヶ月後に迫ったノーザン。映画好きはチェックですよ!
トーキョーノーザンライツフェスティバル 2019
②ミス・エイプリル(スウェーデン)
スウェ日本150(略してみました)で企画された国立記念アーカイブでのスウェーデン映画特集で観た一本。今年どころか人生ベストに入れたいくらいの好みな作品でした。1950年代!のストックホルム!!で、主役のお嬢さんはダンサーの卵!!50年代のファッション、街並み、インテリアを背景に、美男美女が集って、ここまで笑わせる。脚本もみなさんの歌声も、笑いのセンスも何もかもが素晴らしかったです。

これが公開当時のポスター(画像はSvensk Filmdatabasより)。可愛すぎます
③グッドハート(アイスランド)
こちらもトーキョーノーザンライツフェスティバルで観た一本。日本でも大ヒットした『好きにならずにいられない』のダーグル・カウリ監督の新作で、またしても胸をぎゅーーーーっと掴まれてしまった。切ない。『好きにならずにいられない』のフーシはキリストだったけれど、今回の主役を演じるポール・ダノも最高に天使でした。ダーグル・カウリ監督って、神なの?
来年公開の作品としては、デンマーク発の超話題作『ギルティ』が餅つき級に太鼓判を押したい作品です。フィンランドを舞台にした『雪の華』もとても良いです。こちらの紹介はまた改めて。

★今年のワタシ的 BEST5★

①日本スウェーデン外交関係樹立150周年記念「将来を開くパイオニア」の10名に選ばれた
ス日150(もっと略してみた)企画のひとつ「スウェーデンと日本をつなぐパイオニア」の一人に、光栄なことに選ばれました。漫画家オーサさんや、先日お会いできた日本茶インストラクターのオスカルさんなど、スウェーデンを代表して日本との架け橋になっている方、そしてスウェーデンで活動する日本の方たちについても知ることのできるいい機会になりました。パイオニアだなんて畏れ多いと思っていましたが、これをきっかけに北欧BOOKや私の活動が知られて、新しいつながりができて、また何か面白いことができたら嬉しいなーと思っています。
②アイスランドとエストニアに行った
ついに行きましたよ〜〜アイスランドへ!北欧へ行き始めて13年目にして、ついに北欧5コンプリートです。そしてご縁あってエストニアも。昨年、国連から「北欧」認定されたバルト三国には俄然、興味が高まっていたのですが、バルト海峡秋景色を口づさみながら行ってきました!どちらも、これまで見てきた北欧4カ国とはぜーんぜん違う!とも思うし、ああ似てるな……という部分もあり。今後も繰り返し足を運んでいきたい国が増えました。来年以降の本や原稿にもすこーしずつ反映していく予定です。
③ヘルシンキツアー企画が無事催行、楽しかった
フィンツアーさんと企画した『3日でまわる北欧 in ヘルシンキ』ツアーが無事催行できました。嬉しいことに満席で総勢12名の参加者とヘルシンキへ。5月末に開催される街をあげての蚤の市「クリーニングデイ」を中心に、お気に入りのコーヒー屋さんや市場をご案内したり、スーパーマーケットで買物したり、レストランでおしゃべりしながらの食事会まで本当に楽しかった!普段は個人旅行が多いので、みんなでご飯を食べたり街を歩いたりと、ツアーって楽しいんだなあと気づいた旅でもありました。ご参加のみなさんと帰国後もイベントで再会したり、Sticka へ遊びに来ていただいたり、つながりができたのも嬉しい。改めてご参加のみなさま、ありがとうございました。ありがたいことに来年もぜひ!との声もいただいて、ただいまフィンツアーさんと企画中です。どうぞお楽しみに♪
詳しくは→フィンランドでお買物&街歩きを満喫!『3日でまわる北欧 in ヘルシンキ』ツアーレポート
④『3度めの北欧』を出版できた
以前からほんのり温めていた企画『3度めの北欧 スウェーデン西海岸、空とカフェの日々』が形になりました。改訂版なども入れると、私にとって15冊目の本となりました。『3日でまわる北欧』シリーズのようなわかりやすい実用書的な本とはちょっと違う今回の本は自分にとってチャレンジであり、一方で「私の好きな北欧、私がいいと思う北欧」を言葉にしていくのは、本当に楽しく幸せな作業でした。タイトルがよかったのか、嬉しいことにメディアで取り上げていただくことも多く、1ヶ月でラジオ4本出演は史上最高記録!ひるねこBOOKSさんや、オニバスコーヒーとのイベントもできたし、記念すべき10回めの北欧ぷちとりっぷで出版記念イベントができたのも感慨深いです。引き続き、たくさんの方に手に取ってもらえたら嬉しいです。


3度めの北欧 スウェーデン西海岸、空とカフェの日々』
森 百合子 著
¥1,600 + 税(2018年9月28日発売)
出版社 スペースシャワーネットワーク


⑤10回めの北欧ぷちとりっぷができた
まさか10回続くとは思っていなかった『北欧ぷちとりっぷ』。『3度めの北欧』発売記念で10度めの北欧ぷちとりっぷ。うーん、続けるってすごいな、と改めて実感しました。ぷちとり10の思いはこちらで熱く語っています。
詳しくは→北欧ぷちとりっぷ vol.10レポート〜『10度めのぷちとり 焚き火と山田、北欧男子の日々』
さてだいぶ長くなりましたが、2018年のはじめに今年のテーマに掲げたのが「お金を使う」でした。良い活動をサポートするのにはさまざまな手法があるけれど、お金を落とす以上のサポートはないと思っています。だから良いモノ、良い本、良いイベントにはお金を使おうと。元来、ケチな性格なのですが、目標を掲げると猛進する性格でもあり、我ながら清々しくお金を使ったと思います。
2019年のテーマは、「つなげる」にしようと思います。2018年はこれまでにやってきたことがいろいろな形でつながって仕事の幅も増えたし、本づくりや情報発信への取り組み方もまた違った形でできました。尊敬する石井ゆかりさんの星占いで今年の終わりくらいから「今までやってきたことの棚卸しのような作業をする」と書いてあり、ああ、それ必要なことだなと、最近せっせと棚卸ししているのですが、それをより意識してつなげて、広げていきたいなと。
ありがたいことに来年も新しい本を発売できそうです。うまくいけば3冊、か4冊。できることを、続けて、がんばります。
今年も一年、ありがとうございました。本を買ってくださった方、イベントに参加してくださった方、Sticka に来てくださった方、応援の言葉をかけてくれる方、いつもサポートしてくれるみなさまに感謝をこめて。来年も良い年となりますように。

スに150が終わり、来年はフィンランドと日本が外交関係を樹立して100年の節目の年となります。フィンランド関連イベントがこれまで以上に盛り上がりそうです!かもめ食堂以来の大フィンランドブームが起こりそうな予感……私は陶芸家のルート・ブリュック展が楽しみです♪