日本初、エストニア料理のレシピ本『旅するエストニア料理レシピ』

先週めでたく発売となった『旅するエストニア料理レシピ』。日本初となるエストニア料理の本で、発売日にはエストニア大使館で著者、佐々木敬子さんからプレス発表がありました。エストニア料理屋さんの屋号で料理のワークショップやイベントも開催している佐々木さん。会では表紙のおいしそうなピンク色のスープに、エストニアが誇る各種黒パン(ライ麦パン)も登場し、佐々木さんから各地の味や料理の特徴などを伺いながら、エストニアのおいしさを体験してきました!

初めて訪れたエストニア大使館。壁の色といい、バルコニーといい可愛いらしい。そして青・黒・白のエストニア国旗がはためいています。中に入るとぐっと落ち着いたクラシックな内装です。会はエストニア大使のご挨拶からスタート。

「食は人をつなぎます。心をつかむには胃袋をつかむのが一番。食卓を囲むのがいい。」と大使。本当にそう思います。一緒に食べたり、料理や食材を知ることでその国に対する理解ってぐっと深まりますよね。

いつもいい味だしてる大使館のアルゴさん。エストニアへ取材に行った際にも思いましたが、これまでにお会いしたエストニアの方たちはみな人あたりがやわらかで、心からもてなしてくれるのがじわっときます。

さて試食です!これまで北欧各国でいろいろな黒パンを食べ歩いてきましたが、エストニアの黒パンって本当においしいのですよね。でも日本にはエストニア料理の店がまだありません。北欧各国の黒パンはあれど、エストニアの黒パンは手に入らない……ということで、佐々木さんのエストニアの味を追求する試みが始まったのだそう。

スープのピンク色はビーツです。クリーム仕立てですが酸味のあるケフィアヨーグルトのせいかさっぱりとした口当たりで食べやすい。ビーツは北欧全般で親しまれている食材でこのレシピ本でもビーツを使ったピンク色の料理がいくつか出てきます。

黒パンはバターやジャムと食べるほか、エッグバターと一緒に食べるとおいしいとのこと。このエッグバターはフィンランドにもありますが黒パンと食べるのは初めて(フィンランドではカルヤランピーラッカの上にのせて食べるやつです)。

本の紹介やエストニアについての解説は、佐々木さんの母校の先輩というエッセイストの高木良子さんとの対談で進みました。エストニアならではの食材、森でとれるもの、スーパーマーケットでも黒パンの種類が豊富に揃っていること、国立公園できのこ狩りができることなど各地を旅した佐々木さんのお話に、「ITのイメージが強かった」という高木さん。書籍でも、エストニア各地を訪れた食の紀行文が充実していて、タイトルどおり旅する気分を味わえます。

会の最後には大使夫人からエストニア料理の分厚〜い本が、佐々木さんに贈られました。これでますますエストニア料理屋さんのレパートリーは増えそうですね…!

会場には日本で買えるエストニアの食材や雑貨、アクセサリーなども展示されていました。

エストニアははちみつがおいしい。そしてコーヒーよりもハーブティーが人気なのですが、お茶にもよくはちみつが添えられています。

このピアス、佐々木さんもしていたのですが可愛かったな〜。会場には「北欧のおやつとごはん」サイトもますます充実しているFukuya さん、北欧食材輸入のアクアビットジャパンさん、北欧情報サイトの北欧区さんもいらして、北欧チームとひさしぶりにお会いできて同窓会のようでもありました。

この編みぐるみはエストニアで手に入れたもの。詳しくはこちらに書いています →エストニア国立博物館で、編みぐるみを探せ

本書では、本格レシピはもちろん、ライ麦パンのおいしい食べ方、ベリーウォーターなど気軽にできそうなアイデア、そしてビーツの焼き方といった「あ、それ知りたかった!」なテクニックも紹介されています。エストニアというまだまだ日本ではあまり知られていない国への知識とイメージが膨らむおすすめの一冊です。そして冒頭に記された、この本ができるまでの佐々木さんの思いは、小さな国や文化を伝え広めていきたい人たちの背中を押してくれるような力強さがあります。いやー私も、最初の本『北欧のおいしい話』を作った時のことを思い出しちゃいました。北欧の食なんて興味ある人いるのかな? いや、でもこれを伝えたい! と不安を抱えつつ、ぐるぐる考えながら本を作り、そこからいろいろつながっていったなあ〜と。

2021年は、エストニアと日本が外交関係を樹立して100周年となるアニバーサリーイヤー。「『旅するエストニア料理レシピ』は、2国の架け橋になる』でしょう」との大使の言葉どおり、この本をきっかけにエストニアやバルト三国に興味をもつ方が増えるのではないかなと思います!

エストニア料理のおいしさに目覚めた記事はこちら →北欧へ仲間入り!エストニアのおいしい話